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最近、自分がフリーメールを活用できない人間だってことに気付きました。

2006年09月03日

ブログ小説 焔-HOMURA- scene2

●越智 彰治(おち しょうじ)/銀雹(ぎんひょう)

 越智は、来客用の黒革張りのソファに座り、腕を組むと、うつむいたきり、動くのをやめた。重たそうな、白に近い灰色のロングコートを着て、揃いの色のつばのついた帽子をかぶっている。目は閉じていたが、つばに隠れて、部屋にいる他の者たちからは、見えなかった。
 越智の隣で、高級そうな紺のスーツに身を包んだ、高田という男が、リラックスした調子で、優雅に足を組み直した。指先で眼鏡をずらして、位置を微妙に直す。光が反射して、レンズの奥の目が、見えなくなった。
 部屋の中で、部外者なのは、越智と高田だけだった。他にいる十数人の男たちは、部外者の二人に向けて、殺気を放っている。
 越智と高田の向かい側に座っている、ルシオという男が、ソファの上でふんぞり返って、言った。
「それで?カザギワのお二人が、俺たちに何の用なんですかね」
 高田が答えた。
「先日、我々の仲間が、銃火器を輸送している途中に襲われ、全員が死亡しました。まあ、失われてしまった命を返せなんて、無理は言いませんが、輸送していた銃火器なら、すぐに返してもらうことが可能だと考えて来たのですが」
 ルシオが、仲間の一人を振り返った。
「心当たりはあるか?」
「これじゃないですか?」
 ルシオが話しかけた男が、両手にサブマシンガンを構えた。他の男たちも、それにならって、サブマシンガンやショットガンといった銃火器を手にする。銃口は全て、越智と高田に向けられていた。
 高田が微笑んだ。
「そうです、それです。返していただけますか?」
「中身だけ、な」
 ルシオの一言を合図にして、男たちの手にした銃が火を吹き、銃声が部屋の中に響き渡る。一分以上、休みなく撃ち続けた後、ルシオが片手を挙げて、それを止めた。
 見る影もなく、変形した入り口のドアが外れて、床に倒れた。煙に覆われた部屋の中で、越智と高田が座っていた黒革張りのソファが、跡形もなく消し飛んでいた。
 ルシオが言った。
「これでよかったかな?カザギワのお二人さん」


つづく
posted by 城 一 at 12:00| 長編小説 焔-HOMURA- | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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