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最近、自分がフリーメールを活用できない人間だってことに気付きました。

2006年09月06日

ブログ小説 焔-HOMURA- scene8

●C・C・リヴァ

 リヴァは、頭に引っかけていた、オレンジ色のサングラスをかけた。
 赤と白の、長袖のボーダーシャツの裾をめくり上げる。カーゴパンツの前に挟んでいたS&Wのリボルバーを、右手に持った。左手にはバットがある。
 商品が並ぶ棚の陰に、身を潜めるリヴァに、近づいてくる青い覆面男の、靴音が聞こえていた。
 リヴァは、男の顔が出てくるだろう場所に、銃口を構えた。左手では、バットが棚の陰から出ないように、振り上げる。
 覆面男が姿を現した。視界に現れた青い覆面の中心に、リヴァが銃口の向きを修正した後に、男は自分の足元にリヴァがいることに気づいた。二人とも銃を持っていたが、敵に銃口を突きつけることができたのは、リヴァの方だけだった。
 男は誰もいない空間に向かって、真っ直ぐ銃を持った腕を突き出したまま、動きを止めた。
 リヴァは、笑顔で軽く首を傾げた。
「ハロー」
 バットを振り下ろした。男の頭がガクンと揺れ、白目に変わる。手に持っていた銃が、天井に向けて発砲した。
自分の方へと倒れてくる男の頭にバットを、もうひと振りし、向こう側に突き飛ばした。
赤い覆面と、リヴァの目が合った。
「このクソガキ」赤い覆面が走ってくる。
「慌てんなよ、ブラザー」
 リヴァはそう呟くと、また棚の陰に隠れ、カーゴパンツのポケットにあった、サイダーの入ったペットボトルを、思いきり振った。
 赤い覆面の男の吐いた靴が、床と擦れて高い音を立てた。
 銃を構えた男の目に映ったのは、蓋の開けられたペットボトル。吹き出すサイダー。目を覆った男の腹に、リヴァがバットを打ち込む。
 リヴァは頭の中でカウントした。ワン、ツー、スリー。
 男の体が、くの字に折れ曲がった。さらに、男の頭にバットを振った。男は、気絶して床に倒れた。
「俺の前で、はしゃぎ過ぎなんだよ」
 リヴァは店内を見回した。黒いジャージの少年の姿が、消えていた。
「野郎、逃げやがったな」
 よく見ると、サングラスの、目の見えない男の姿もない。
 カチャリ。
 リヴァの後頭部に、銃口が突きつけられた。
「あり?」
「武器を捨てて、こっちを向け。ゆっくりだ」
 リヴァは、言われた通りにした。銃を構えていたのは、サングラスの男だった。目が見えないはずの男。
「あれは、演技だったんだ」リヴァは言った。
「そう」
「趣味悪ぃ」
「趣味は悪い。だが、頭がいい」
 男は、ニヤリと笑った。


つづく
posted by 城 一 at 12:00| 長編小説 焔-HOMURA- | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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