Gusuku LABELへようこそ!
最近、自分がフリーメールを活用できない人間だってことに気付きました。

2006年09月06日

ブログ小説 焔-HOMURA- scene11

●高田 清一(たかだ せいいち)

 高田は、静かに唾を飲んだ。彼の前に立つと、やはり緊張感は抑えきれない。
 風際秀二郎は、体にぴったりとした、オーダーメイドのダークスーツを着ていた。部屋に煙草のにおいは、全くしなかった。風際秀二郎は、煙草を吸わない。彼は、ただ静かに、重々しい木で作られた机を、指でゆっくりと叩いていた。
 風際秀二郎の隣で、彼の右腕とされている、秘書のような存在。カナコ・ローディンが、高田と越智の二人が、ルシオから取り返してきた銃火器の数と、種類をチェックしていた。
 カナコは、赤毛を男の子のように短いショートヘアにしていて、スラッとした体つきをしている。タイトなスカートから覗く脚は長く、引き締まっている。身長は、百八十センチ近くもあった。高田よりも、十センチ近く高い。
 カナコが顔を上げて、風際秀二郎を見た。両耳から長くぶら下がっている、ターコイズをあしらったピアスが揺れた。
「全て、あります」
「ご苦労だったな、高田」
「いえ」
「ルシオ一派に対しては、どういった対応をしたのですか?」
 カナコが言った。
「向こうに合わせたよ」
「合わせた、とは?」
「少々、暴力的な解決法さ、カナコ」
「ミス・ローディン。いつも、そう呼んでほしいと、お願いしているはずですが?」
「失礼、ミス・ローディン。先方に合わせて、少々暴力的な手段を用いて、解決いたしました」
 風際秀二郎が言った。
「越智がやったんだな」
「そうです。そこに積まれている銃火器を相手に、いつものように投げナイフだけで。彼の力には、いつも驚かされるばかりです」
「その本人は、どうした」
「たぶん、今頃、女でも抱いているんでしょう。殺しをやった後は、いつもそうだ。古いタイプの男です」
「分かっている」
 風際秀二郎が、重々しく頷いた。カナコが、咳払いをした。
「ミスタ・高田。今の言葉を撤回してください」
 高田は、眉を寄せて、カナコを見た。
「どの言葉でしょう」
「女でも、と言ったことです。女性が、物のような言い方だわ」
「失礼、ミス・ローディン。そんなつもりはなかった」
 高田はもっと、カナコに挑発的な態度を取って、口喧嘩を挑んでもよかったが、やめた。風際秀二郎は、それを好まない。
 高田は喉をさすりながら、軽い咳払いをして、声を整えた。風際秀二郎が言った。
「ところで、私の孫はどうしてる」


つづく
posted by 城 一 at 21:00| 長編小説 焔-HOMURA- | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。