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最近、自分がフリーメールを活用できない人間だってことに気付きました。

2006年09月07日

ブログ小説 焔-HOMURA- scene12

●高田 清一(たかだ せいいち)

「私の孫は、どうしてる」
「風際慶慎のことですね」
「それ以外に、誰がいる?」
「すみません。越智から話を聞く限り、訓練は順調に進んでいるようですが」
「そうか」
 風際秀二郎の言葉が途切れた後、少し、重苦しい沈黙が訪れた。高田は、また少し緊張しながら、口を開いた。
「それにしても、運がよかった、とでも言うのでしょうか。サーカスから拾って来た子供が、ボスのお孫さんだったとは」
「私も正直なところ、まだ信じられんのだ。現実味があるのは、息子の文永くらいまでのものだ」
「しかも、お孫さんには、どうやら素質がある」
「たとえ孫でも、力のない者は、カザギワには必要ない」
「冷たい方だ、あなたは」
「今は、余計な人員を引き入れている余裕などない。少数精鋭。それが、カザギワに必要なことだ」
「はい」
「それにしても、越智から慶慎についての報告が、なかなか聞くことができないな」
「はい」
「もしもお前が、越智に会う機会があれば、言っておいてくれ。孫の教育は、どうなっているのか、と」
「分かりました」
 風際秀二郎は、机の上に両肘を突いて、掌を組み、その上に顎を乗せた。また、ニヤリと口元を緩める。
「楽しみでは、あるのだ」風際秀二郎は言った。「芸術家とまで呼ばれる越智に、才能を見出された子供だ。それに、もし使えるようになれば、カザギワ最年少の殺し屋になる」
 高田は、風際秀二郎の言葉に、大きく頷きながら言った。
「もしかすると、銀雹を超える芸術家が、生まれるかもしれませんよ」
「それは言い過ぎだよ、高田」風際秀二郎は言った。「越智はな、人間であって、人間ではない。あれを超える人間が、この世にいるようには、思えない」


つづく
posted by 城 一 at 00:00| 長編小説 焔-HOMURA- | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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