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最近、自分がフリーメールを活用できない人間だってことに気付きました。

2006年09月07日

ブログ小説 焔-HOMURA- scene15

●狩内 蓮(かりうち れん)

 西部劇に出てくるような、古びた酒場。昼間から、酒で顔を赤らめた男たち。酒場の中に、いくつもある円テーブルの一つに、人だかりができていた。ジョッキに注いだビールを手にした男たちが、罵声や歓声を上げている。
 中年の男が、カードを放った。
「フラッシュ」
 若い男が、軽く折れ曲がった煙草を、噛むようにしてくわえたまま、掌で額を叩いた。
「フラッシュだと!この、くそったれめ!」
 中年の男が、自らの勝利を確信して、ガハハッと笑った。
「調子に乗り過ぎなんだよ、蓮。思い知ったか、馬鹿」
 蓮が、額を叩いた掌の下で、ニヤリと微笑んだ。
「馬鹿?どっちがだ、ボブ?」
 カードがテーブルの上を滑る。蓮は、両手でテーブルを思いきり叩いた。
「ストレート・フラッシュだよ、馬鹿野郎!俺の総取りだな」
 蓮は素早い手つきで、手元にあったビールを取り、テーブルの中央にあった、くしゃくしゃの札束の山を取った。
「くそったれ!」
 ボブは、テーブルを持ち上げて、引っくり返してしまった。
 さらに、周囲から罵声が飛ぶ。
「イカサマやってんだろうが、蓮!」
「てめぇ、勝ち過ぎなんだよ!少しは自重しやがれ!!」
 蓮は、全く気にせずに、ビールを一気に飲み干した。
「そう思うんだったら、証拠でも提出してくださいな」
 蓮は、ウエイトレスを呼ぶと、彼女の尻を撫でた。彼女が睨むのも気にせず、お代わりを注文する。
「冗談じゃねぇや。今度は俺と……」
 蓮の相手に名乗りを上げようとした男を押しのけて、女が現れた。
「ちょっと、待ってくれないかしら」
 スラリとした体の女は、綺麗な刺繍の入った、赤いチャイナドレスを着ている。薄汚れた酒場の中で、彼女だけが、明らかに浮いていた。女を見て、男たちの間から、声が上がる。
「いい女だ、見ない顔だな。チャイニーズかい?」蓮は言った。
「日本人よ。奈々恵と呼んで」
「チャイナドレスが似合う。中国女みたいだ」
 蓮は、ボブが先ほど引っくり返したテーブルを、元に戻しながら、そう言った。
「わたし、ポーカーをやりたいの」
「いいぜ、お嬢さん。座りな」
 言われた通りに、奈々恵は椅子に座った。脚を組む。下着が、見えそうで見えない。蓮は、口笛を吹いて、言った。
「やあやあ、こいつは目に毒だな」
「でも、お金がないの」奈々恵が言った。
「そいつは困ったことだな」
「わたしの体は、賭けに見合うと思う?」
 蓮は、奈々恵の言葉を聞いて、片眉を上げた。
「どういうことかな、お嬢さん。俺にはあんたが……」
「負けたら、服を脱ぐ。それで、賭け金に見合うかしら」
 蓮は舌なめずりをして、ニヤリと微笑むと、カードを取った。
「上等だ、ベイビ」蓮は言った。「賭け金に見合うよ。釣りが出るくらいだ」


つづく
posted by 城 一 at 09:00| 長編小説 焔-HOMURA- | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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