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最近、自分がフリーメールを活用できない人間だってことに気付きました。

2006年09月08日

ブログ小説 焔-HOMURA- scene20

●狩内 蓮(かりうち れん)/白虎(びゃっこ)

奈々恵の手から、銃が床に落ちた。蓮の部下たちから銃を突きつけられ、観念したのだ。両手を挙げる。
「前言撤回。さすが、ツガ組幹部、白虎と言ったところね」
 蓮は奈々恵の落とした銃を拾い、その銃口を彼女の額に突きつけた。奈々恵の表情が一変する。
「何を驚いてる。俺たちはおまわりじゃないんだぜ。黙秘権うんぬんを口ずさんだりはしねえ」
「くっ」
 奈々恵は唇を噛んだ。
「それとも、狩内蓮は女好き。だから、自分は殺されない。そう思ったか?」
「当てが外れたようね」
「そんなことはないさ」
 蓮は、銃口を奈々恵の額から外し、天井に向けた。大きく息をつく奈々恵。だが、蓮の手元で銃はくるりと方向を変え、奈々恵の方へと回った。
 乾いた音がして、奈々恵の体が揺れた。小さな穴が、奈々恵の左胸に空いていた。
「だが、平気な顔で、何もしていない一般人を巻き込んで殺すような女は、例外だ」
 奈々恵の体が、ゆっくりと床に倒れる。
「残念なことだな、いい女」
 奈々恵の死体を見下ろす蓮の肩に、部下の一人、佐々岡が、真っ白いジャケットを掛けた。ジャケットの黒い裏地には、派手な白い虎の刺繍が入っていた。
 それが、ツガ組幹部である狩内蓮、通称白虎≠フ証だった。
 だが、不機嫌そうに蓮はそれを振り払った。
「蓮さん……」
 蓮は、口を開きかけた佐々岡を、振り向きざまに殴り飛ばした。他の部下のことも、次々と殴っていく。
 ポールだけは殴られることなく、ただ黙って立ちながら、その様子を眺めていた。
 部下全員を殴り終わり、少しだけ息を切らしながら、蓮は怒鳴った。
「てめえらがちんたらやってたせいで、関係ない連中がたくさん死んだ!」
 部下たちは背筋を伸ばし、真っ直ぐに姿勢を正した後、頭を下げた。
「すいませんでした!」
「ミカドの下っ端のくず共を片づけるのに、なぜこんなに手間取った!」
「予想していたよりも、数が多く……」
「言い訳してんじゃねえぞ、ぼけ!」
 蓮は、また佐々岡を殴った。蓮自身、八つ当たりの感情が混じっているのは、分かっていた。しかし、関係のない者たちを巻き込んでしまったことは、自分も含めて、許せなかった。
 誰か、俺を殴れ。蓮は思った。
 部下である彼らが、自分のことを殴るのは、命令しても、あり得ない。それは分かっていた。蓮はひたすら、拳を握った。爪がその内側に食い込み、血を滲ませていた。


つづく
posted by 城 一 at 00:00| 長編小説 焔-HOMURA- | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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