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最近、自分がフリーメールを活用できない人間だってことに気付きました。

2007年01月14日

ブログ小説 焔-HOMURA-[integral] 第13回

 ダンク。慶慎は前に、コンビニ強盗に巻き込まれたことがあった。ダンクには、そこで出会った。強盗が入ったときのコンビニの客の中に、彼がいたのだ。それ以来、慶慎はダンクに会ってはいないが、友情に近いものを感じていた。
「どうして……」
 慶慎の呟きを合図にしたかのように、ダンクが目を開いた。瞬間、殺気。対応できなかった。慶慎は床に突き飛ばされた。ダンクが床を蹴る。拳。間に合わない。体が動かなかった。慶慎は目を閉じた。
「あれ?」
 再び目を開いた慶慎の眼前に、ダンクの拳があった。その向こうに、きょとんとしたダンクの顔があった。慶慎の顔を、まじまじと見つめている。
「お前、どこかで」
「覚えてないの?」
「いや。いやいや、覚えてるよ。確か……スモーなんとか」
 机に腰掛けた、蓮がふざけて言った。
「スモーレスラー?」
「そう、そんなような」ダンクは、未だ顔をしかめながら言った。
 慶慎は半ば呆れながら言った。
「スモーカーだ。君らがつけたんだ」
「そう!」ダンクは、ぽんと手で手を打った。「スモーカー! でも、違うぜ。その名前をつけたのは、リヴァだ」
 リヴァ。ダンクと共にいた、少年の名前だ。同じく、コンビニ強盗をきっかけに知り合った少年。
「いやあ、それにしてもすまんかった。まさか、相手がお前だとは思わなかったからさ」
 ダンクは、軽々しく慶慎の肩を叩いた。慶慎は、痛む頭をさすりながら、頷いた。一際、大きな咳をする。蓮が言った。
「大丈夫か、焔?」
「認めてくれるんですね」
「一応」
「一応」慶慎は鼻を鳴らした。「いくら、ツガ組の白虎と言えども、お遊びが過ぎるんじゃありませんか?」
「ま、許してくれよ。お前さんが、リタ・オルパートを逃がしたのと、これでおあいこってことにしよう」
 そう言われると、慶慎には反論できなかった。慶慎はダンクを見た。
「で、君はどうしてここにいるの?」
「どうしてって。流れで。リヴァについて来たら、いつの間にやらって感じだな」
 慶慎は、記憶を探った。コンビニ強盗に遭ったとき、ダンクはいとも簡単に、強盗によって卒倒させられていた。そのときの様子と、今のダンクは、どうやっても繋がらなかった。慶慎は蓮とポールを見た。
「彼に、何かしたんですか?」
 ポールが腕組みをしながら答える。
「トレーニングを」
「ドラッグとかは」
 ただのトレーニングで、ここまで人間が変わるとは、慶慎にはどうしても信じられなかった。
「見損なうな。そんなことはしない」
「しかし」
 ポールは、ダンクを見た。
「こいつには、才能があった。ただ、トレーニングを全くしていなかった。バスケットに関しちゃ、完璧だったがな。誰かを倒すための訓練は受けていなかった。本人もしていなかった。それを、施しただけだ。お前にけしかけたのは、その訓練の成果を見たかったからだ。すまない」
 慶慎は、また咳をした。
「それで、ここまで強くなるものなんですか」
「そのようだな。俺自身も、少し驚いている。それに、まだまだこいつは発展途上だ」
 慶慎は呻いた。いくら自分が本調子ではないとは言え、ここまで追い詰められた。これ以上、ダンクが強くなれば、カザギワの殺し屋としても十分にやっていける。
 蓮が言った。
「ショックかい」
「ええ」
「ま、安心しな。こいつ、肉体的にはかなりのもんだが、頭が追いついてない。総合的に言えば、お前さんの方が上さ。ただ、素手ゴロでやりゃ、こいつが勝つかもしれないが」
 慶慎は咳き込んだ。やはり、咳が止まらない。元々、調子が悪かった上に、ダンクの攻撃も効いていた。慶慎は、床に膝を突いた。
「大丈夫か?」蓮が言った。
「ダンクをけしかけておいて、よく言いますね」
「口の減らない小僧だね、お前。とりあえず、お前さんには、引き続き、リタ・オルパートの捕獲に動いてもらいたい。カザギワから、許可も下りてる。あちらさんから命令のない限り、お前さんにはこっちの命令で動いてもらう。もちろん、一人でやれとは言わん。今回は松戸がいたから見つかったが、今度は奴を探す作業をゼロから始めなきゃならん。サポートをつける。ちょうど、暇を持て余してる奴がいるもんでな。しかし」
 ろくにできない呼吸の間隙を縫って、慶慎は言った。
「しかし?」
「今、お前には、急いで休息をとってもらいたいな」
「そんなこと」
「どう考えても、そうだ。そいつは、ダンクの一撃が効いたことだけが原因じゃないな。何か、持病があるのか?」
「答えなきゃなりませんか?」
「生意気な奴。とにかく、休め。リタ・オルパートを捕まえなきゃ、街の勢力図が変わるわけでもない。焦るな。一週間以内に体調整えて、出直して来い。話はそれからだ」
 もはや、反論するだけの体力もなかった。慶慎は頷いた。
 壁に手をつきながら、慶慎は蓮の部屋を出た。



つづく




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posted by 城 一 at 00:44| 長編小説 焔-HOMURA-[integral] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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